ピンクの花

 

”運命の扉が開く瞬間”

 

気圧が大きく変わる前の
暴風に見舞われた
土曜の昼下がりに

一軒一軒を手押し車で
廻りながらパンを売る
若い女性が訪ねてきました。

 

出かける間際の父が
表にいたその方に
声を掛けてしまったらしく

「対応してよ~!」と一声
残したまま去っていくので

「勘弁してよ~」とだるだる
階下に降りて対応すると
まだ歳の若い女性でした。

 

大きな発泡スチロール容器を抱え
ヨロヨロと玄関に入ってきます。

 

売り子さんは異なりますが
以前にも一度試し買いした
パン屋さんの訪問販売でした。

 

特に買うつもりもなく
お断りしようとすると

ちょうど家じゅうに
大きく鳴り響くように
かけていたCDのピアノ演奏
興味を示されます。

 

午前のカウンセリングを
終えたばかりとあって

部屋や玄関はじめ空間の
浄化を兼ねて
我が家ではこの音楽を
用いていることを話すと

古びたメモ帳を取り出し
一生懸命聴いていることを
ノートに書きとっています。

 

熱心な姿に感心し
わずかな時間ですが
玄関先でお話をしました。

 

夢があるらしく、その夢に
どうしたらたどり着けるのか
知恵や知識がなく
頼る人もなく彷徨っていたと
おっしゃいます。

 

具体的に抱く夢についても
少しお話してくださいました。

 

話しているうちに

「なんだかカウンセリングを
してもらっているみたいで
鳴ってる音楽と一緒に心が癒され
ものすごく勇気と希望もらえました」

とみるみるうちに
表情が変わり

美しく整った面立ちが
さらに引き立つような
素敵な笑顔を見せてくれます。

 

私自身にも遠い昔に
記憶があります。

 

自らの描く道の途中や
長い旅が始まる前の段階で

道しるべとなったり
一歩を踏み出す勇気をくれる

心に抱いている希望に
灯をかざしてくれるような
存在に出会うこと。

 

それはふとした瞬間だったり
思いもよらないような
タイミングだったり
するのでしょうけれど

間違いなく言えるのは
普段の思考や言動が
引き寄せている
自らが招く結果なのだと思います。

 

そこから自分の中で
何か覚悟が決まり
そのための大切な選択をして

新しい世界へ向かって
一歩を踏み出していく瞬間
なのかもしれません。

 

使い古した彼女のノートには
たくさんのメモが
記されていました。

 

きっと、あちらこちらで
見聞する学びを
ノートに書きとって
いらっしゃるのでしょう。

 

意志の強そうな
キラキラとした瞳を輝かせ

「今度は未来の自分のために
また、ここを訪ねさせて
頂いてもいいですか?」

 

そう言って深々と頭を下げ
バウムクーヘン一箱分が
減った発泡スチロール容器を
再び持ち上げ
去っていらっしゃいました。

 

玄関の扉が開かないほど
風圧の強い暴風で
箱ごと吹き飛ばされそうな
華奢な彼女が

なぜか来た時よりも
頼もしく目に映り

ハッキリとした気づきを得て
新しく人生を変えていく方の
本格的な人生の幕開け

まさに ”序章” に
立ち会わせていただいた
ような気持ちになります。

 

「そこ(ノート)に綴ってらっしゃる
言葉をはじめ
今やってらっしゃること
感じていることのすべてが
これからのご自身にとって
大切な財産になるでしょうから」

と伝えたときに
誇らしげに頷いた彼女の
その背後に

既に彼女が輝く未来を
見たような気がしたのは
私だけなのでしょうか・・。

 

投稿者プロフィール

小松万佐子
小松万佐子こまつまさこ心理相談室(安曇野ルーム)心理カウンセラー
今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
小松万佐子から皆様へのメッセージ

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