ずっと抱えていたコンプレックスが誰かの一言で自分の新たな魅力に変わる瞬間。

もしかすると、皆さんもこれまでの人生でいくつか経験されていらっしゃるかもしれませんね。

ちょうど冬と春が行き来し、まだまだ風が冷たい時季とあって今日はその冷たい風から思い出す私の思春期のころの悩みについてお話してみたいと思います。

濃いピンクの桜

私の母の家系は何代さかのぼっても純粋な日本人ですが、どうしてか肌の色や目の色、また顔の造りが日本人とは異なり西洋人のそれに似ているところがあります。

ただ母に限っては、外国人にしか見えない母の他の姉妹たちと比べるとたいへん残念ながら「あぁ、惜しい!!」といった感じです。

だから、こうして同じくコテコテに平たい顔をした私がいるわけなのですが・・。

母やその姉妹たちの肌も、日本人の白さとはまた違った透けるような白さです。

私や弟は父の要素が半分混じっているのですからそこまで白いわけではありませんが、皮膚の薄さは多少遺伝しているようです。

私は思春期のころ、寒い時期になるとどの都市に住んでいようが頬が赤らんでしまうことをとても気にしていました。

青白い顔をした友人たちが羨ましくて仕方なく、母の家系の皮膚の薄さをずいぶんと恨めしく思ったものです。

冷たい風にあたるだけでなく、暖かい部屋にいても一人だけのぼせて蒸気したような紅色の頬になってしまうのですから冬は憂鬱な季節でした。

大学生になってからだったと思います。

当時住まっていた千駄木で近所にある化粧品を扱うお店のおばさんと仲良くなりました。

おしゃべりがてら遊びに行っては眉を整えてもらうというなかなか居心地の良い場所でした。

ある日のこと、私の眉を整えながらおばさんがしみじみと「なんて色が白くて透き通るようなきれいな肌をしているんでしょう」とおっしゃいます。

「皮膚が薄くて冷たい風にあたるとすぐ頬がピンク色になったり赤らんだりするのがすごく嫌だったんです」。

そう答えた私に「桜色の頬はものすごく魅力的ですよ。青白い血の気のない肌色をしているよりよほど血色がよくて素敵です。小松さんのお顔立ちにはものすごく映えますからね」と返してくださいます。

また「親御さんからいただいた貴重な宝物ですから大事になさってくださいね。お化粧なんか上から塗ったらもったいないくらい、水分を十分に含んだ肌理の細かな美しい肌なんですから」ともおっしゃってくださいました。

子供のころから悩んでいた私にとって衝撃的な瞬間でした。

自分が嫌で嫌で仕方のなかった皮膚の色を見たことのないほど美しい色と質感を持った肌だと褒めてくださる人がいる。

その日から、私は肌の色を気にしなくなりました。

また薄紅色の化粧を施したように、ほんのり桜色になる肌がなんだか愛おしくなり、ものすごく大切にしなくてはと思ったものです。

そして同時に、もし周りの誰かが何かしら人と異なったり、悩みの種としていることを見つけたらそれを心から「あなたにしかない宝物ね。素敵だね」と言える人間になりたいとも思いました。

人生は人との出会いによってほんとうに多くの学びと気づきを得られるものですね。

あの日いただいた言葉以上にもっと大切な、意図せずとも教えられた他者を見つめる心の在り方。

自分が悩みから救われた言葉と同じように、出会う人々が抱えるコンプレックスをその人にしかない宝物や魅力だと気づいてもらえるような言葉をやんわりと放てる人でありたいなぁと思います。

 

投稿者プロフィール

小松万佐子
小松万佐子こまつまさこ心理相談室(安曇野ルーム)心理カウンセラー
今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。
皆さまが柔らかな心で一日過ごせますように。
小松万佐子から皆様へのメッセージ

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